龍の謂れとかたち
龍の謂れとかたち
スペインで出会った龍の仲間たち
ジローナのベアトゥス写本 ヨハネの黙示録
ジローナ
ジローナはバロセロナから90kmほどのところにある
カリング王朝時代(9世紀)にはスペイン辺境領の重要な役割を果たした城塞都市
オニャール川によって旧市街と新市街が分かれている
川は自然の要塞の役目を果たしており、 ナポレオン戦争の際7ヶ月間の籠城に耐えることができた
河畔よりジローナの旧市街を見る
カテドラル
旧市街にはロマネスク様式やゴシック様式の建物が残っている。
旧市街のランドマークはカテドラル。1312年に着工し16世紀に完成
ファサードはカタルーニャバロック様式、内部はゴシック様式で異なった様式を見ることが出来る
カテドラル正面 ファサードはカタルーニャバロック様式
宝物館
併設されている宝物館の4つの部屋には、彫刻や金銀細工の宝物が展示されている
《ジローナのベアトゥス写本》と
カタルーニャ・ロマネスクの三大美術品のひとつといわれている《天地創造のタピストリー》
の二つはその中でも注目すべきもの
ベアトゥス写本
ベアトゥスは8世紀の北部スペインの修道僧、神学者で、776年に黙示録の注釈を書いた。
ベアトゥスの注釈を元に書かれた写本が現在も30近く(正確な数には諸説ある)存在している
写本には黙示録の場面を描写する挿絵が入っている
ジローナのベアトゥス写本
テーマは、セウ・デ・ウルヘルの写本と同じ《ヨハネの黙示録》である
存在する中の一冊で、最も保存状態が良いもののひとつ
作者は10世紀の修道士マギウスとその弟子たちということになっている
ヘローナ(ジローナ)本の筆者はマギウスの弟子、尼僧エンデらである
この写本はガラスケースの中に収められていて、開かれたページしか見ることが出来ない
訪れた日には、七つの頭と十の角とがあり、その頭に七つの冠をかぶっている赤いドラゴンの挿絵のページが開いていた
カテドラルのガイドブックを購入して赤いドラゴンの挿絵を探したが、他のページが掲載されていた
帰りにカテドラル入り口に近い通路に掲示されていたポスターを見つけた
ヨハネの黙示録
第12章には、悪魔とか、サタンとか呼ばれ、全世界を惑わす巨大なドラゴンが登場する
天上で、ドラゴンとその使いは、ミカエルとその御使たちと戦って負け
その使たちもろともに地上へ投げ落とされる 記述がある
図はカテドラル入り口近くの通路に掲示されていたポスター
天地創造のタピストリー
宝物館の最も奥の部屋にある《天地創造のタピストリー》はカタルーニャ・ロマネスクの三大美術品のひとつ
他の二つは
タウルのサンクレメンテ教会の《栄光のキリスト》
リポールのサンタ・マリア修道院の《大扉口の彫刻》
【栄光のキリスト についてはこちらから その10をご覧ください】
中央のキリストの像の上下を分けて天と地とみなす
天の部分には鳥の姿をした聖霊と大天使ガブリエルとミカエル(ミゲール)が描かれ
地の部分には、海山の鳥獣や魚、そしてアダムとイブが描かれている
四隅には四季をつかさどる風袋にまたがった天使たちが配され
その周囲には、天地創造にあずかった人々の生活の風景が描かれている
図はカテドラルのガイドブックより複写
【参考文献:『カタルニア・ロマネスク 田沼武能(たぬま たけよし)写真集』 1987年12月 岩波書店】
071015/071030/101006
チヴァーテ(伊)のサン・ピエトロ・アル・モンテ聖堂の壁画
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